オシリス神話と大国主神話

古代エジプトには、オシリス神話というのがあります。

オシリス神の妻はイシス神で、子どもはホルス神です。都市伝説で有名なプロビデンスの目は、別名ホルスの目と言われています。
つまり、フリーメイソン(ピラミッドの石工の知恵の伝承団体)に流れ込むエジプト魔術と関わりの深い神家族です。
ちなみに、この神々の神話は地中海の文明世界で広範に広まっており、イシス神がホルス神(赤子)を抱く絵画が、カトリック絵画に多いマリアがキリスト(赤子)を抱く絵のモチーフになっているという説があります。

本題に入ります。
オシリスは文明をもたらした人気の高い神でした。そのため、兄弟であるセト神に妬まれて殺されてしまいます。
それを悲しんだ妻イシス神が復活再生させます。
オシリス神は、その後また殺されてしまい、冥界を司る王になり、人間の死後、閻魔大王のように、その人間の生前の行いを計って冥界での行き先を決める神となります。

不思議なことに、この神話は、日本の大国主神話と似ています。
大国主命は、兄弟とともに越のヤガミヒメに求婚に向かいますが、ヤガミヒメの意中の人が大国主だと知った兄弟に殺されてしまいます。
それを悲しんだ母が神にお願いして生き返らせます。しかし、また殺されてしまい、母の勧めで冥界のスサノオ尊を訪ねます。そこでスサノオ尊に与えられた試練を乗り越え、立派な王の資質を得ます。
その後、農耕、医療といった文明を広めますが、天津神から国譲りを求められ、立派な宮を建ててもらうことを条件に国を譲り、冥界の王になります。(冥界の王は、イザナミ神→スサノオ尊→大国主命)

物語の順番こそ違いますが、
・文明をもたらした存在がいた。
・彼は、妬んだ兄弟によって殺されるが、再生する。
・最後は冥界の王になる。
という基本モチーフは同じです。

少し教訓めいた整理をすると、
・文明のネガ面(自我・欲望)と妬み・殺人
・死と母性による再生
・罪なき死者による死後世界の再秩序化
といった点が抽出できます。
こう整理してみると、旧約聖書のカインとアベル伝承、あるいは、ヨセフ伝承とも少し共通点がありそうです。

これは偶然なのでしょうか。
神話の祖形となる何らかの史実又は伝承が人類の太古にあって、それが無意識の中に記憶されていて、エジプトと日本(、ヘブライ)それぞれで形を変えて物語へと顕在化された可能性はないでしょうか。
あるいは、後述するような人の流れがあったのかも知れません。

大国主神話は、弥生時代の開発を物語る伝承群だとされていますが、もしかすると、こうした「祖形」の骨格に弥生時代の史実を肉付けしたのかも知れません。


冥界に関しては、エジプトに近いギリシャのエウリディケ・オルフェウス神話とイザナギ・イザナミ神の冥界神話の類似性もよく指摘されるところです。
夫が、死んだ妻を連れ戻しに冥界に行くが、夫が何らかの掟を破ったために妻は現世に帰ることができなくなった、というストーリーです。
ただし、イザナギ・イザナミ神話の方が遥かに壮大ですが。。。

これは、神話研究の世界では、古代のギリシャと日本の間に何らかの交流があったのではないか(ギリシャから日本への人の流れがあったのではないか)と指摘されることがあります。
日本の学者には、「何でも外から流入した」と考える悪い癖があります。そこには、世界最古の土器を創り出した太古日本人への敬意はありません。

田中基氏が「縄文のヴィーナス」で指摘するように、女性の生と死の両面を表現した縄文時代の「釣手土器」がイザナミ神話を彷彿とさせるものですので、ギリシャ→日本という流れではないと考えます。それに、イザナギ・イザナミ神話は国生み神話ですので、遥かに壮大です。

過去のブログ記事(http://s.webry.info/sp/66575033.at.webry.info/201805/article_15.html)で書いたように、記紀のイザナギ・イザナミ神話は縄文神話である可能性が高く、仮に、人の流れで考えるならば、日本→ギリシャという流れが考えられます。

その場合、これも過去のブログ記事(http://s.webry.info/sp/66575033.at.webry.info/201105/article_7.html)で書いたように、縄文人→中東(YAP遺伝子)という人の流れがあった、と仮定して、中東からギリシャに流入した神話である可能性を考えておきたいと思います。(当の中東は一神教になったので冥界神話が消滅した?)

ただし、上述のオシリス神話と大国主神話の仮説のように、無意識下から、それぞれの民族が引っ張り出した記憶である可能性も否定しません。

なお、日本神話と地中海東岸の地域の神話との類似性という点で言えば、スサノオ尊とバアル神の類似性(http://s.webry.info/sp/66575033.at.webry.info/201103/article_1.html)もあります。

以上、
・ギリシャ神話(エウリディケ・オルフェウス神話)とイザナギ・イザナミ神話
・エジプト神話(オシリス)と大国主神話
・フェニキア神話(バアル神)とスサノオ神話
といった形で、冥界に関わるイザナミ神、スサノオ尊、大国主命の神話がいずれも、古代イスラエルの位置した東地中海の神話と類似性があるのは、何とも不思議なことです。

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